舞の寸法(構造)

能の舞は地謡に合わせて舞うものと、囃子方の演奏に合わせて舞うものがあります。
ここではお囃子に合わせる舞の寸法(構成)をご紹介します。
舞は正式には五段ですが、但し、近年は省略して三段で演じる場合が多くなりました。
今回は、三段の寸法での舞の構成をご説明しましょう。

舞は次のようなブロックで構成されています。
掛り(かかり)→初段(しょだん)→二段(にだん)→三段(さんだん)。
まず掛りと呼ばれる、0(ゼロ)段があり、「天」「地」「人」でご紹介したように、左回りで三角形を描き、「人」で大小前に戻ります。
次に初段(一段)、二段、三段と進んでいきます。

「今日の舞は三段でお願いします」とか「すいません、五段でお願いします」
と、シテは予めお囃子方に伝えておきます。
この三や五は段の区切りのことで、舞自体のブロックは、「三段」なら0,1,2,3、の4ブロック、4段構成となります。

ここで能役者の心のうちを披露すると
掛りは、「天」・「地」・「人」の項目で説明した通り、翁の舞を基盤にした儀式的な要素が含まれているため、演者は曲趣に沿った舞を舞う、という意識よりも、舞をはじめるプロローグ・序曲のつもりで舞います。

本来の役になりすまして舞いはじめるのは、実は初段からです。
つまりゼロ段は数えない、そのように私は解釈しています。

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