子方のギャラ

収録が終わると出演料が出る。嬉しい瞬間だ。今は振り込みでなんとも味気ない。が、やはり私は現金でチャリンと音がしても直接手渡される方がいい。以前放送業界は出演料を支払う部屋があり、無事収録が終わると担当者がそこへ案内してくれ、中で名前を言うと手渡されたものだった。

子方時代の収録で思い出すことは、「子どもに現金支給はいけない」というNHKのお考えで、いざご褒美と喜んでいたら、「このガラスケースに入っている品物から好きなのを選んで」と言われた。
見ると欲しいものなどない。ご褒美は現金という相場に慣れていた私が「えっ! ここから選ぶの? 好きなものなんかないよ。ロクなものないじゃないか!」と言いそうになったとき、担当のおじさんが「ロクなものないよね、ゴメンね。選ぶの困っちゃうよねーー」とまるで私の心を見透かしたように言うのでギクリ。
渋々「これ!にします」と答えた。今、何を選んだのかまったく覚えていないが、あのときの忿懣やる方ない思いは忘れていない。自分ながら物欲が過ぎると反省します・・・。

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