能楽協会アーツプラン愛媛公演内子座から

平成15年2月25日から三日間、能楽協会アーツプラン愛媛公演がありました。演目は三日間とも『景清』で、初日は八幡浜市にてシテ・粟谷菊生、二日目は内子町にてシテ・塩津哲生、三日目は丹原町にてシテ・香川靖嗣で公演いたしました。
中でも二日目の会場となった内子座(うちこざ)は大正天皇ご即位を祝って創建され、歌舞伎も文楽も公演可能な木造劇場です。一時老朽化により取り壊しになるところを町民の熱意により復元し、昭和60年10月に再出発しました。現在は年間7万人もの人々が訪れています。
今回のように、内子座での能の公演は大変珍しく、貴重な体験となりましたので写真でご紹介いたします。

内子座へは大型バスが通れるような広い道がないので、
出演者は皆、市役所でバスを降り、徒歩で向かいました。
内子座は木造劇場(収容人数 650名)です。
内子座の由来
大正時代、当地が生糸や木蝋の生産で栄えていた時、
芸術、芸能を愛してやまない町の人々の熱意で建てられました。
花道に立つ藤田六郎兵衛氏、狩野了一氏、友枝雄人氏。
歌舞伎劇場の特色を最も表している花道。
当日シテツレ(金子敬一郎)とワキツレ(則久英志)は
この花道を橋掛りのように使い登場しました。
裏にあるこの扉が楽屋口です。入るとすぐに井戸や釜があり、
昔ながらの情緒を感じさせる建物でした。
出演者、スタッフは舞台の下見に余念がありません 2
検察台。昭和の戦時中は芝居の内容を見守る役人、
警官が座っていました。
出演者、スタッフは舞台の下見に余念がありません 1
奈落への階段は狭く急な勾配でした。
奈落とは舞台や花道の下の地下室のことです。
舞台下の奈落への道。降りてびっくり、
大人一人がやっと通れるぐらいの狭さです。
二階席から見る舞台。二階席正面には大向(おおむこう)といわれる
低料金の客席があり、常連や劇通が多く座ります。
「大向をうならせる」とは芝居が上出来ということです。
奈落の説明。
奈落の下。舞台中央の円形部分は人力で回転します。
「すっぽん」とは花道の七三の位置にある切穴のことを言います。
この場所からせり上がり登場出来ます。
三日間の本公演の日の昼は学生のためのワークショップが開かれ、
装束の着付けやお囃子の道具の説明、
そして体験教室も行われました。
お囃子は大野誠氏、曽和尚靖氏、柿原光博氏、前川光範氏の4名でした。
二日目終了後、参加者への慰労会がありました。
写真は乾杯の音頭をとる藤田六郎兵衛氏。
高安流大鼓の柿原光博氏(東京在住)
幸流小鼓の曽和尚靖氏(京都在住)
金春流太鼓の前川光範氏(京都在住)