お正月の箱根駅伝で有名な国道1号線の最高地点(海抜874メートル)の近くにある曾我兄弟と多田満仲の墓を探訪してきました。
元箱根から湯本へ下る1号線の右側に曾我兄弟の墓と虎御前の墓があります。
富士の裾野で父の敵、工藤祐経を夜討ちにして仇討ちを成し遂げた二人(能『夜討曽我』)ですが、兄の十郎祐成は新田四郎に討たれ、五郎時致は生け捕られ鎌倉幕府に送られ遂に斬首されてしまいます。兄弟の墓はここ富士の裾野の箱根に寄り添うように置かれていますが、兄の墓の隣には、生前愛した虎御前の墓もありました。この三つの墓を拝んでいると、ひとり大人になりきれなかった五郎の姿が目に浮かんで来て、哀れを誘います。
兄弟の墓から離れ、道路の下のトンネルをくぐると反対側には石仏石塔群がありました。
そしてそれよりすこし下ると、立派な多田満仲のお墓があります。
多田満仲は源氏の祖といわれ、能『満仲』(観世流は『仲光』)に登場します。
能『満仲』は家来の藤原仲光が主君満仲より美女丸を刺殺するように命を受け、苦渋の末わが子を代わりに手にかけてしまうという、現代では考えられない忠誠心の話です。家来という立場での悲しい状況を題材にした現在物で、父菊生の十八番でもありました。私もいつか演じたいと思っています。
では写真でご紹介していきます。