噴水と滝

公園には噴水が付き物だ。綺麗な緑の芝生に噴水はよく似合う。一方、桂離宮や修学院離宮などの日本庭園には噴水というのを見たことがないし似合いそうもない。噴水はどうも海外から来たものではないだろうか。

噴水は水の自然現象を覆して下から上へ吹き上げる、その水の動きの美しさを楽しむものだが、欧州や特に水の貴重な中近東の大富豪家たちのステータスを庭にいかに大きな噴水を沢山持てるかであるようで、それで競いあっているらしい。私は噴水も嫌いではないが、やはり上から下への流れの美ということで、滝の方に目が向く。

能で滝といえば『翁』や『安宅』『柏崎』などで謡われる「鳴るは滝の水」が思い浮かぶ。この謡のあとには舞が続く。『翁』は千歳ノ舞、『安宅』は男舞、『柏崎』では舞入の小書が付くと中ノ舞が入る。

梅雨あけして今年も暑い夏が続きそうだ。噴水も滝も見ていると涼しさを感じ楽しめる。私が見てきた滝はというと、有名なところで日光の華厳滝、滝そのものがご神体の那智の滝、立山の称名の滝、山登りに凝っていた時に見た、利根村の吹き割滝、桧枝岐にある水量日本一の三条の大滝、ぐっと規模は小さくなるがかわいい軽井沢の白糸の滝などだ。

さあ今年はどこの滝を見に行こうかなあ。そうだ『養老』も舞ったことだし養老の滝に行くことにしよう。そして、長旅が嫌いでも能に関係なくても、いつかは見たいと思うのが「ナイアガラの滝」。いつか是非行って、あの雄大で荘厳な滝をこの目に焼き付けたい。

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